No.031 ドイツの教育システム

異文化

ドイツの教育システムは「早い段階で進路を決める」という点が特徴的です。

子どもは比較的若いうちに「学問(大学進学)」の道か「職業訓練(職人や専門職)」の道に進むかを振り分けられる仕組みになっています。

【小学校まで(Grundschule)】

小学校は通常 1年生から4年生(6歳~10歳ごろ)

この時点で 担任や学校と家庭の話し合いを通して、次にどのタイプの中等教育へ進むかを決定します。

【中等教育(5年生以降)の進路】

小学校を終えた後、以下のような学校に分かれます:

  1. Gymnasium(ギムナジウム)

・大学進学を目指す子ども向け。

・12~13年生まで学び、最終的に「アビトゥーア(大学入学資格試験)」を取得します。

  1. Realschule(レアルシューレ)

・実務的な職業や専門学校への進学を目指す。

・卒業後は職業訓練や上級学校(Fachoberschuleなど)に進むことも可能。

  1. Hauptschule(ハウプトシューレ)

・主に手工業や職人系の職業訓練(デュアルシステム)に直結。

・15~16歳で卒業し、その後は企業で働きながら職業学校に通います。

実際に「職人の道」を選ぶ時期

・具体的に 職業訓練(Ausbildung)に進むのは15~16歳ごろ

・ただし、方向性そのものは **小学校卒業(10歳前後)**の時点で「大学進学を見据えるか」「職業系に進むか」が大枠として決まってしまう、というのがドイツの特徴です。

【補足】

・ただし州によって制度の柔軟性は異なり、途中で進路を変更できる仕組みもあります。

・近年は「総合学校(Gesamtschule)」が増え、進路変更の余地が広がっていますが、基本的に早期選択の伝統は残っています。

【まとめ】

・**10歳ごろ(小学校卒業時)**にまず進路の方向性を決め、

・15~16歳で実際に「職人としての職業訓練」か「さらに学業を続けるか」を決断する、という流れです。

【日本との違い】

メリット・デメリット比較表

視点ドイツのメリットドイツのデメリット日本との違い
進路決定の早さ子どもの適性を早く見極められる。10歳での判断は早すぎる場合もあり、後で後悔する人も。日本は高校卒業(18歳)まで進学か就職かを決める余裕がある。
職業教育デュアルシステムで実践的に学べる。卒業後すぐに即戦力として働ける。一度職業訓練に入ると大学進学の道が狭まることも。日本は「大学進学 or 就職」の二択で、職業訓練の選択肢が少ない。
社会的評価職人や技術職も高く評価され、収入も安定しやすい。学歴社会的な評価は依然として強く、ギムナジウム進学が「エリート」と見られる傾向も。日本では大学進学が「成功コース」とみなされがち。職人や専門職はまだ低めに見られることも。
柔軟性州によっては進路変更が可能で、Realschuleから大学進学に進む道もある。学校の仕組みによっては進路のやり直しが難しい。日本では浪人や専門学校など、比較的やり直しの選択肢が多い。
社会との接続16歳から社会人として働きながら学ぶ経験が積める。若いうちに「大人の責任」を負わされるため、精神的に負担になる場合も。日本は大学卒業(22歳)まで「学生」でいられる猶予が長い。

まとめ

・ドイツでは 「早期決断」+「職業教育の充実」 が特徴。

・日本は 「進路決定が遅い」+「大学進学偏重」 が特徴。

・どちらにもメリットとデメリットがあり、特にドイツでは「職人=立派なキャリア」と認められている点が大きな違いです。

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