No.018 ドイツ出身の人気歌手 Annette Louisan(アネット・ルイザン)

異文化

【ドイツ出身の人気歌手】

ドイツにいた頃、会社の同僚に勧められて聞いた音楽が「Annette Louisan」という女性歌手の曲でした。

彼女の甘く儚げな声が好きで、当時、「Bohème」(ボヘミア)というアルバムを購入し

てよく聞いていました。

今は、YouTube Premium等で、いつでも、どこにいても聞けるようになりました。

フランクフルトのAlte Oper(旧オペラ座)で開催された彼女のコンサートにも一度、行ったことがあります。

【Annette Louisanのアルバム:Bohème】

Bohème」はフランス語で、英語では Bohemia、日本語では「ボヘミア」や「ボヘミアン」と訳されます。

もともとはチェコのボヘミア地方の住人を指す地名由来の言葉ですが、19世紀以降は転じて、

・定住せず自由気ままに暮らす人

・芸術家・作家・音楽家など、既存の社会規範に縛られず創作活動をする人
というライフスタイルや気質を意味するようになりました。

アネット・ルイザンのデビューアルバム『Bohème』も、この「型にはまらない芸術的・自由な生き方」というニュアンスを込めたタイトルだと考えられています。

【Bohème収録曲】

アルバム『Bohème』のイメージ図

①Das Spiel — 「ゲーム(恋の駆け引き)」

主人公(歌い手)が相手に対して「私は単なる遊び相手で、本気の関係は望んでいない」と誠実に伝える内容です。

関係が一度きりの夜から進展し、相手が期待や感情にのめり込んでしまう様子に、申し訳なさと戸惑いを抱く主人公の心情が描かれています。

②Die Lüge — 「嘘」

恋人からの「優しい嘘」や甘い言葉を、現実かどうかは問わず「信じたい」と願う切ない心情が描かれています。

主人公は、相手の声や言葉に溺れるように酔いしれ、その幻想に心から引き込まれていくのです。

そして、“嘘であっても構わないから、もう一度その言葉を聞かせてほしい”という切実な願いを抱いています。

③Die Dinge — 「物事」または「事柄」

主人公(歌い手)が自分の生活や行動の無軌道さ、そしてそれによって生じる関係のズレや罪悪感を、自嘲と共に赤裸々に語りかけています。

④Das Gefühl — 「感情」または「フィーリング」

一度消えかけていた感情がふいに戻ってきて、再び自分を強く惹きつける様を詩的に描いた歌です。

感情は心に深く刻まれる“商品”的存在として、不確かさと魅力を同時に持ちます。

戻ってきた感情には切なさ、期待、葛藤が混ざり合っており、一瞬の輝きとその後の虚しさが交錯する心理が美しく表現されています。

⑤Daddy — 「パパ」

主人公が深夜まで眠れずにいるにもかかわらず、その寂しさや不安が「パパ」には気づかれない様子が描かれています。

自分自身が「派手すぎる」「うるさい」と自己評価しており、周囲に受け入れられないのではないかという不安を抱えています。

愛されたいのに否定され続けた孤独な心情と、自分の存在が空虚に映る切なさを描いた作品です。

感情を抑えながらも、承認と愛情を求める切実さが詩を通して伝わってきます。

⑥Die Katze — 「猫」

猫の気まぐれで媚びない性質が、ある女性の人物像を象徴するメタファーとして描かれています。

猫の振る舞いを通じて、相手を惹きつけつつも従わず、自由奔放でありながらも「この人から離れられない」と感じさせる不思議な魅力が表現されています。

⑦Der Schöne — 「ハンサムな人」または「美しい人」

主人公の強烈な憧れと幻想が描かれています。

対象となる“魅力的な男性”は、まるで貴族のように洗練され、ハリウッド俳優のような仕草を持つ、夢のように完璧な人物として表現されています。

彼に対して主人公は、自らを犠牲にするほどの憧れを抱く一方、現実とのギャップに気づき、幻想を手放す葛藤が描かれています。

⑧Die Gelegenheit — 「機会」

主人公が恋愛において「今こそがそのチャンス」と確信し、相手と人生を共にしたいという強い願望を抱く、熱くて衝動的な感情の瞬間を描いています。

希望と焦りが入り交じった、まさに“今すぐ掴むべき一瞬”を捉えた楽曲です。

⑨Der Blender — 「見かけ倒しの人」

「甘い言葉で魅了しながらも実体は薄く、心を翻弄する恋の相手」への憧れと、その裏に潜む欺瞞を、鋭く描き出しています。

甘い魅力に翻弄される感情と、それを越えて地に足をつけたいという自制の願いが、詩情豊かに交錯しています。

⑩Die Trägheit — 「怠惰」や「無気力」

「一日中ただ寝て過ごし、何もしないことに専念したい」という、怠惰に身を委ねる主人公の日常がユーモラスかつ正直に描かれた作品です。

何の予定も目標もなく、あえてその「何もしなさ」を成し遂げることで静かな充足感さえ感じている様子が表現されています。

⑪Die Formel — 「公式」や「方程式」

「複雑ではない」と前置きしつつ、自分と相手の関係がこれからどうなっていくのか、自身の気持ちがどれほど本当のものかを問いかけながら、「自分の感情を計算して整理したい」という想いを表現しています。

⑫Das Liebeslied — 「恋の歌」

「理性では理解できないほど、強く誰かを想う恋心」に翻弄される主人公の心情を、比喩的で詩的な言葉で表現しています。

感情が理性を押しのけ、日常を一変させるほどの衝動的な恋の高揚が主題です。

⑬Das Spiel (Radiomix) — 「ゲーム(ラジオミックス)」

1. Das Spielと同じ。

【番外編:Bohèmeに入っていない楽曲】

Annette Louisanの曲で「Drück die 1(ボタン1を押して)」という曲も大好きです。

電話の音声案内のように構成され、主人公が「あなた」の感情や相談したい内容に応じて異なる数字(1, 2, 0, 4, 8)を選ぶことで、一種の“感情対応ガイド”を提示しています。

それぞれの番号が指し示す内容は、感情(泣いているか)、再会の可能性、現在の気持ち、置き忘れた物、緊急な相談など、細かく状況を分類しています。

“心を電話とPCに繋げただけ”という仕掛け表現で、遠くにいる「あなた」との接続を試みる主人公の、複雑な感情と距離感が象徴的に描かれています。

最後の「赤い電話のボタンを押して」には、“面倒な感情のやり取りを避けたい”けれど、それでも接点を保ちたいという、切実な思いが込められています。

つまり、「Drück die 1」は、関係性の余波や未練の種別を丁寧に分けながら、再接触の可能性に揺れる心模様を、ユーモアと切なさを交えて描く曲です。

もし今、私のことで泣いているなら → 1 を押して。

まだ怒っているか、会ってやり直せるかを聞きたいなら → 2 を押して。

私がどう感じているか、むかついているのか、どれだけ信じてほしいか、今私があなたをどう思っているか、そんなことを知りたいなら → 0 を押して。

あなたの荷物がどこにあるか、ここで寝られるか、おまわりさんのところにいるなら迎えに来てほしい等を聞きたいなら → 4 を押して。

新しい彼女とうまくいかない、お金がない、髪が白くなった、孤独がつらい…そんな悩みなら → 8 を押して。

私の神経を少し休ませてあげたいなら、赤い電話ボタンを押して。

【まとめ】

アネット・ルイザンは、甘く儚げな声と深みのある歌詞で知られるドイツのシャンソン系シンガーです。

アートのバックグラウンドを生かした独自の表現と、ジャンルを横断する音楽性で、多数のヒットと受賞歴を誇ります。

芸術家としての表現活動にとどまらず、社会的責任と倫理への感度を持つアーティストでもあります。

・フェアトレードの普及啓発

・白血病治療支援への献身

・女性の社会的役割や自己認識をテーマにした歌詞

といった活動・表現を通じて、多くの人々にインスピレーションを与えています。

*Anker SoundCore2(12W Bluetooth 5 スピーカー 24時間連続再生) 完全ワイヤレス対応!*


タイトルとURLをコピーしました