私が、ドイツにある会社に就職して、数年が過ぎた頃、緊急電話当番が
月1回のペースで回ってくるようになりました。
【緊急電話当番とは?】
その名の通り、団体ツアー客、個人客、ビジネスマン、様々な人たちが、
ドイツに滞在する間、何らかのトラブルに遭遇した時に、
事務所に電話が繋がらない時間(平日の業務時間外、週末、祝祭日)に、
対応する電話当番のことです。
1週間ごとに緊急電話当番の担当は変わります。
週の金曜日の夜から次の週の金曜日の勤務時間までです。
緊急電話を持つ人は3名いました。
1号機→緊急な場合、真っ先に電話がかかってくる。
2号機→1号機が対応中、あるいは、電話を取れなかった場合の転送先。
3号機→1号機、2号機が対応中、あるいは、電話を取れなかった場合の転送先。
*3号機はマネージャーが持っていました。
【プランニングシート】
緊急電話当番の人は、金、土、日、月のドイツに滞在している
全旅行客の日程表を紙で持ち歩いていました。
この日程表が印字されている紙のことをプランニングシートと呼んでいました。
ツアーが多ければ、その分、紙の量も増えます。
日程表には、手配しているアシスタントさん、ガイドさん、通訳さん、バス会社と
ドライバー、レストラン、ホテル、博物館、美術館、の入場に至るまでの情報が
入っていました。
それに加えて、M社で登録しているアシスタントさん、ガイドさん、通訳さん、
バス会社、レストラン、ホテルの連絡先は常に肌身離さず持っていました。
【緊急対応事例の1と2】
どういう時に携帯が鳴ったのか、例を挙げながら、説明していきます。
例1)早朝の睡眠中
電話の主は添乗員さんからでした。
「もうすぐ待ち合わせの時間になるのに、バスのドライバーが来ません。」とのこと。
前日にバス会社からドライバーの電話番号を確認しているので、すぐに、
ドライバーへ電話し、「今どこにいますか?どのくらいで着きますか?」
と聞きます。
すると、「あと5分で到着する。」とのことでしたので、電話を切った後、
添乗員さんへ電話し、そのことを伝えます。
これで、5分後に電話がなければ、無事にドライバーが来てくれたと思い、
再び、ベッドに戻ります。
例2)夕方の剣道の練習中
剣道は、皆様ご存じの方もいらっしゃると思いますが、剣道具を着けます。
頭には、面を被ります。
そして、大きな声を出して練習します。
たとえ、練習場所の端に携帯を置いていても聞こえません。
そこで、私は、垂れの名札の中に、携帯をバイブにして入れていました。
電話が鳴り、練習を中断し、面を外して、プランニングシートを開き、
どのツアーかを確認します。
電話の主は、ガイドさんからでした。
体調不良を訴えるお客様がいらっしゃるとのことでした。
急いで面を外し、更衣室にこもり、対応に当たります。
このような場合、病院へ行くにしても言葉の問題がありますので、
添乗員さんが同行するのか、ガイドさんに通訳業務をお願いするのかは、
現場で決めてもらいます。
ガイドさんが行くことになれば、別途、時間の延長と通訳料金が発生しますので、
そのことについて、事前に了承を頂き、最終的にお願いすることになります。
その後、ガイドさんに病院での様子と終了時間を報告してもらいます。
基本的にお金が発生する場合は、一度、3号機のマネージャーに相談して、
どのように対応するのかを相談していました。
私の様子を見ていたご父兄の方達には、
「保険会社で働いていらっしゃるのかと思いました。」と言われました。
これ以外の事例については、また、次の機会でお話いたします。
*【ふるさと納税】クラシックなボンネットバスで巡るバスツアー、長野県での体験型観光(ワイン試飲付)*
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