No.64 『No』と言えない日本人の典型だった私

日常

 

性格上、人にお願いされると、なかなか「No」と言えない日本人の典型の私が、ついに、「No」と言った日のことをお話しします。

 

私が、フランクフルトの道場の会員になって、しばらくして、道場の先生(通称:Big Boss)とセルビアのナショナルチームの剣道強化合宿へ行くことになりました。

 

道場の先生(通称:Big Boss)との出会いについては、No. 034 ドイツで剣道再開!

をお読みいただければと思います。

No.034 ドイツで剣道再開!
【社長が繋いでくれたご縁】ドイツで働き始めて2年が過ぎた頃、私は剣道から離れていました。そんなある日、会社の社長が日本文化紹介の催しに出かけ、剣道クラブのデモンストレーションを目にしました。そこで代表者のかっちゃんに声をかけ、こう伝えたそう...

 

当時、Big Bossは、セルビアのナショナルチームのコーチをしていました。

 

年に一度、ナショナルチームに呼ばれ、4日間の強化合宿のために、かっちゃん(Big Bossの奥様)とセルビアを訪れていました。

 

しかしながら、前回まで一緒に行っていたかっちゃんが仕事のため、セルビアへ行けなくなり、私がかっちゃんの代わりにBig Bossのアシスタントとして行くことになりました。

 

男女1名ずつがコーチ、アシスタントとしていく理由は、ナショナルチームには男子と女子の選手がいるためでした。

 

季節は夏で、8月でした。

 

私は2日間、有休をとり、いよいよBig Bossとセルビアのベオグラードに向けて飛び立ちました。

 

ベオグラードには、ナショナルチームのメンバーが迎えに来てくれて、ホテルへ到着後、食事をしながら、合宿の予定を確認しました。

 

次の日、朝早くに起床。着替えて、眠い目をこすりながらホテルの玄関へ。全員が集合してからジョギング開始です。

 

筋トレメニューもありました。

Big Bossが遊び心を入れて、二人一組になり、ジャンケンをして、負けた方が腕立て伏せを20回するというゲームでした。

 

セルビアの女子選手で、合宿に参加していたのは全部で5名でした。1人余ります。そこに私が入り、一緒にそのゲームに加わることになりました。

 

私の相手は、セルビアで剣道を始めて数年の10代の女性でした。当時、まだ、彼女は高校生ぐらいだったと記憶しています。

 

さあ、10セットのジャンケン勝負が始まりました。

 

1回目、私が負けました。せっせと20回腕立て伏せをします。

 

まあまあ、次だな。

 

2回目も私が負けました。

 

再び、ペナルティーの腕立て伏せです。

 

さすがに次は大丈夫だろう。

 

3回目も私が負けました。

 

続けて、20回腕立て伏せをします。

 

そして、4回目、5回目と私はジャンケンに負け続け、ついに、10回とも負けてしまいました。

 

私、剣道の現役(大学まで)以降、腕立て伏せをこんなにすることがありませんでした。

 

当時、私は26歳でした。フランクフルトに戻るころに、腕がパンパンに腫れてしまい、病院へ行くことになります。

 

朝のトレーニングが終わると、シャワーを浴びて朝食です。

 

朝食後、休憩が入り、午前の稽古です。

 

先ほど、ナショナルチームの女子は5名であることを説明しましたが、奇数ですので、稽古にも私が加わります。

 

メニューは、ざっくり、切り返し、打ち込み(面、小手、胴、ツキ)、技の稽古、掛かり稽古(短い時間で打ち込み続ける稽古)でした。

 

午前の稽古が終わるとホテルに戻り、昼食です。その2時間後、今度は、午後の稽古です。

 

午後の稽古は、試合形式の稽古、実際の試合練習、最後に自由稽古がありました。

 

ある時、Big Bossに「女子の団体戦の練習をやるから、あっ、1対5ね。」と言われました。

 

この1は、私のことです。

 

剣道の団体戦は通常5人で行われます。先鋒、次鋒、中堅、副将、大将というポジションがあります。

 

この全ポジションを私一人で担うこととなりました。

 

5人との試合が終わり、やっと休めると思っていたところに、Big Bossが私のもとにやって来ました。

 

「次は、男子と1対5ね。」と告げられました。

 

さすがに、疲労困憊だった私は、「いや、できないよ。もし、これをやるのであれば、最後の自由稽古はやらない。」と伝えました。

 

自由稽古は、Big Bossと私が先生側に立ち、次から次に立ち向かってくる選手を相手に30分程、稽古し続けなくてはいけません。

 

選手側は交代で先生にかかることができますが、先生側に休みはありません。

 

すると、「だったら、やめよう。」とBig Bossが言ってくれて命拾いしました。

 

自分の体力の限界を知り、私はこのとき初めて「No」と言えない日本人の殻を破ることが出来ました。

 

私は、合宿中、セルビアの選手と同じメニューをこなし、気付いたら、私の方が皆に鍛えられていました。

 

皆様の中に、「No」と言えて、良かった、ホッとした、心が軽くなった!という経験がありましたら、是非、コメント欄に書いていただけると嬉しいです。^ ^

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