No.059 聖シュテファン教会(St. Stephan)

異文化

 

フランクフルトから車で約30分のところにマインツ(Mainz)という街があります。

 

マインツ(Mainz)は、観光スポットとしても有名な街で、特にシャガールのステンドグラスが設置されている聖シュテファン教会(St. Stephan)が好きで、度々、訪れていました。

【聖シュテファン教会(St. Stephan)概要】

 

  • 990年、マインツ大司教ウィリギスが市内最高地点に創建。皇后テオファヌが発注した可能性が高く、「都市の冠」「帝国の冠」を象徴する聖ステファノ(ステファン)の名を冠した。

 

  • 創建当初は聖職者共同体(コレギアート)を備え、教区を統括する役割を果たした。

【建築と歴史的変遷】

 

  • 1043年、当初の木造建築を石造に改築。

 

  • 1267年から約70年をかけてゴシック様式の後継建物を建設、1340年頃完成。中部ライン地域で最古のゴシック・ホール教会。

 

  • 1462~1499年、南側にゴシック様式の美しい十字回廊を増築。

 

  • 17~18世紀のバロック時代には華麗な内装が施されたが、1857年に近隣の火薬庫爆発で失われた。

 

  • 第二次世界大戦の空襲(1945年)で大被害を受け、西塔の修復とともに身廊・内陣のヴォールト(天井)は木製平天井で復旧。

 

  • 現在は東西両端に内陣を持つ三廊式ゴシック教会で、西側には八角形の大鐘楼がそびえる。

【芸術的価値 ― シャガールのステンドグラス】

 

  • 1978年以降、マルク・シャガールが青を基調に創作したステンドグラスが順次設置された。

 

  • 1985年の没年までに9枚を制作。創世記や旧約聖書の物語、アダムとイブの誘惑などを描く。

 

  • シャガール没後は弟子のシャルル・マルクが残りの窓を完成。ドイツ国内唯一のシャガール教会窓として、ユダヤ・キリスト教の和解の象徴となっている。

【鐘楼と鐘の歴史】

 

  • 中世から数々の鐘が存在。1493年鋳造の「ベアトリクスの鐘」は現存するマインツで最古級の一つ。

 

  • 第二次大戦で全て焼失後、2008年にシュット社の寄付で「ステファヌス」「ウィリギス」「マリア・マグダレナ」など新しい鐘が鋳造され、2009年に全鐘が初めて共鳴。

 

  • 1617年製の「ルンペングロッケン」は現在も手打ちで独自に響く。

【音楽とオルガン】

 

  • 2013年、クライス社製の大オルガンを新設。3段鍵盤、約3000本のパイプを持ち、豊かな音響で礼拝やコンサートに活用されている。

【文化財・その他】

 

  • 初代創建者ウィリギスは1011年にこの教会に埋葬されたが、正確な墓所は不明。

 

  • 13世紀の祭壇台や約1500年頃の大型タブラクルなどが現存。

 

  • かつては聖アンナの頭骨の一部とされる「アンナの頭(Annahaupt)」が安置され、現在はデューレンに保管されている。

 

  • 中庭のゴシック回廊や、戦禍を越えた建築・芸術の復元過程そのものが見どころ。

【観光・信仰のハイライト】

 

  • 深い青を基調とする幻想的なシャガール窓は必見。

 

  • ゴシック建築とバロック装飾の歴史的変遷が一堂に体感できる。

 

  • 教会前のウィリギス広場や回廊は静かな散策スポット。

 

  • 芸術・建築・平和祈念の場として、マインツ大聖堂と並ぶ市内屈指の名所となっている。

*シャガールの2026年カレンダー*

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